シーソーが揺れてる
「直人!」
春香の声は本番が終わり高揚しているせいか高ぶっていた。
「あー」
直人は照れくさそうに春香に向けてぺこりと頭を下げた。
「来てくれたの?」
「悪い?」
「だって今日は新婚さんいらっしゃい見るから行かないってこの前言ってたから」
「そうだったんだけど、親父にちらっとこの話をしたら見に行こうってことになって・・・」
「おー、春香ちゃんこんにちは。叔父さんさんのこと覚えてる?」
その時突然直人の左脇からひょっこりと親父さんが顔を出した。
「直人くんのお父さんですよねえ。お久しぶりです」
「久しぶり。大きくなったなあ。今何歳だ?」
「二十歳です」
「親父、女性に年聞いたら失礼じゃないか」
半分呆れたように言う直人を押しのけて春香は答えた。
「そっかー。もうそんな年になったかー」
「直人くんと同い年ですから」
「今おれそう言おうと思ったのに・・・」
「おうそうだったなあ。はははー」
悔しがる様子の直人を横目に親父さんは豪快な笑い声を上げた。
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