シーソーが揺れてる
春香も同じようなことを考えていた。もしかしたら良太もこの会場に来てくれているかもしれない。
だがすぐにその考えは消えた。そもそも自分が合唱サークルに参加していることも、大会に出ることも良太には話していなかったはずだ。来てなくて当然だ。
「誘えばよかったなあ」
「あれから連絡取ってないの?」
「あー。あれ以来あいつ店に来てないんだよ」
「うんそうみたいだね」
「親父が何回か電話入れたみたいだけど全く繋がらなかったって。おれもメールしてみたけど送信できなかった」
「私もそうなんだよー」
「連絡先変えたのかなあ」
「かもしれない」
春香も実家に1時帰省した次の日の夜に再度電話とメールを入れてみたのだが、直人の言うように携帯番号もメールアドレスもすでに使われていなかった。
さらに良太は公園にも姿を見せなくなってしまった。そのせいなのか、公園では春香も直人も軽く挨拶を交わすぐらいにしか話さずそれぞれの世界(春香は読書、直人はラジオ)に浸っていることが多くなった。
「ねえ、やっぱ片山くんが居ないのって寂しい?」
相変わらず続く会場内のざわめきに混じれて春香は聞いてみた。
「うん」
小さい声だったが春香は聞き取ることができ
だがすぐにその考えは消えた。そもそも自分が合唱サークルに参加していることも、大会に出ることも良太には話していなかったはずだ。来てなくて当然だ。
「誘えばよかったなあ」
「あれから連絡取ってないの?」
「あー。あれ以来あいつ店に来てないんだよ」
「うんそうみたいだね」
「親父が何回か電話入れたみたいだけど全く繋がらなかったって。おれもメールしてみたけど送信できなかった」
「私もそうなんだよー」
「連絡先変えたのかなあ」
「かもしれない」
春香も実家に1時帰省した次の日の夜に再度電話とメールを入れてみたのだが、直人の言うように携帯番号もメールアドレスもすでに使われていなかった。
さらに良太は公園にも姿を見せなくなってしまった。そのせいなのか、公園では春香も直人も軽く挨拶を交わすぐらいにしか話さずそれぞれの世界(春香は読書、直人はラジオ)に浸っていることが多くなった。
「ねえ、やっぱ片山くんが居ないのって寂しい?」
相変わらず続く会場内のざわめきに混じれて春香は聞いてみた。
「うん」
小さい声だったが春香は聞き取ることができ