シーソーが揺れてる
「それでこれどうやって持って帰るつもりなの?」
最後の段ボールにガムテープを張り終えると疲れ切った声で広美が聞いた。
「明日の夕方親が来た時に持って帰ろうと思ってるけど」
「こんなにたくさん車に乗るかなあ」
「うーんどうなんだろう?そう言えば最近あの人車変えたって言ってたからなあ」
「じゃあ明日の午前中に宅急便に出そう。荷物1日遅れになるかもしれないけどいいよね」
「うんべつにいいけど」
「じゃあこれこのままここに置いとくから春ちゃん夜中にトイレとか行く時転ばないように気をつけてね」
「広美もね」
「はー?何言ってんの。私がそんな間抜けなことするわけないでしょう?」
「この前冷蔵庫のところでこけたくせに」
「それはー・・・」
突然広美は口ごもった。自分の見られたくないところを見られたことを恥ずかしがっているのか。それを誤魔化すための適当な良いわけを探しているのか。
そう思いながら春香は広美の顔を覗き込んでみた。広美は泣いていた。両手で顔を覆いひっそりと・・・。
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