シーソーが揺れてる
「何?」
春香はこんどは本物の嫌な予感を覚えた。
「ここに来る前大家さんから電話があって、良太に連絡を取っ手くれたんだ」
「うん」
「あいつやっぱり2週間ぐらい前から実家に帰省してるんだって。何でかは分からないけど」
「・・・」
「でも、しばらくしたら戻るって言ってたからだいじょうぶなんじゃねえ?」
「そう」
沈みがちな声で言う春香だったが、「だいじょうぶなんじゃねえ?」と言う直人の言葉に心が救われた。だが、すぐにはっと我に返り思い出した。
「あのさあ」
ひきつったようなぎこちない声で春香は言う。
「うん」
直人がじっと見つめてくる。
「私も、実家帰るんだよね」
「いつ?」
「今日、今から」
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