シーソーが揺れてる
「ふーんそっかー」
「何?来てほしいの?」
「え?」
「だからー、明日からもこの時間ここに来てほしいのって聞いてんの」
「うーん・・・」
「やっぱり、寂しい?」
きーっきーっと鉄の擦れ合う甲高い音が沈黙を埋めていく。
「べつに忙しいなら無理に来なくてもいいけど」
「うーん忙しくないからいいの」
「あー?忙しくないっておまえ、メイド喫茶やるんじゃないのか?」
「喫茶じゃないし居酒屋だし」
「どっちも変わんねえじゃないか」
確かに、春香はそう言い掛けて辞めた。直人が心配そうに自分を見ているからだ。
「おまえ、ほんと、だいじょうぶかよ」
「何が?」
「俺心配になってきた」
「だから何がよ」
「おまえがメイドになれるのかって話だよ。もちろん本気なんだよなあ」
「うん」
内心自分でもそのことが不安だった。でも一応自信を持って頷いてみた。
「まずその体が・・・」
直人は言葉を切ると、心配そうな目を伏せた。だがすぐに視線を春香に戻すと思い止まったように言う。
「いや、何でも無い」
「そう」
春香はすかさず何か突っ込もうとしたが、どうも言葉が浮かばなかった。
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