シーソーが揺れてる
「ため息つくと」
「幸せが逃げるんでしょー」
直人の台詞を埋めるように春香は言った。
「先に言うなよ」
「あんたが言いそうなことくらい分かるわよ。何年のつきあいだと思ってんの?」
「昔のことは忘れたよ」
「よく言うよ」
その時また風が吹いて、ベンチの上の空き缶がころころと転がって行った。
「拾わなくていいの?」
からんころんと風に煽られてベンチの周りを行ったり来たりしている空き缶を見ながら春香は直人に聞いた。
「おっそうだったそうだった」
直人はすっとベンチから立ち上がると転がる空き缶の方へと駆け寄った。そして自分から遠ざかろうとする空き缶を拾い上げると空き缶の周りに僅かにこびりついた泥をはたき落とすとそれを作業服の内ポケットにそっとしまい込んだ。
「幸せが逃げるんでしょー」
直人の台詞を埋めるように春香は言った。
「先に言うなよ」
「あんたが言いそうなことくらい分かるわよ。何年のつきあいだと思ってんの?」
「昔のことは忘れたよ」
「よく言うよ」
その時また風が吹いて、ベンチの上の空き缶がころころと転がって行った。
「拾わなくていいの?」
からんころんと風に煽られてベンチの周りを行ったり来たりしている空き缶を見ながら春香は直人に聞いた。
「おっそうだったそうだった」
直人はすっとベンチから立ち上がると転がる空き缶の方へと駆け寄った。そして自分から遠ざかろうとする空き缶を拾い上げると空き缶の周りに僅かにこびりついた泥をはたき落とすとそれを作業服の内ポケットにそっとしまい込んだ。