シーソーが揺れてる

「ここに連絡してってこと？」
一通りそれを見ると春香は尋ねた。
「そうなんじゃない？」
まるで人事のように直人は答えた。
「うん、分かった。今夜辺り連絡してみる」
「そっか。できればそうしてやってくれ」
「そういえば私あんたと連絡先交換してなかったよねえ」
直人から貰ったメモをバッグのポケットにしまいながら春香は言った。
「あーそうだねえ」
「あんた携帯持ってるでしょ？」
「一応持ってるけど」
「じゃっ教えて」
「おれ自分の番号もアドレスも忘れちゃったよ」
「はーっ？なにそれ」
「んなもんいちいち覚えていられるかよ。自分に自分で電話やメールすることないんだからさあ」
「あー、そう言われてみれば・・・」
春香はやっと直人の言おうとしてることが分かってきた。