シーソーが揺れてる
「今日は珍しく早起きだねえ」
ベッドに腰掛けた春香を改めて見て広美は目を丸くした。
「うん。メールが来る音で目が覚めちゃってさ」
「へえ」
「ねえ今日雨降るのかなあ?」
春香はさきほど見た窓の外のどんよりとした空を思い出して広美に尋ねた。
「昼過ぎから雨みたいだよ。今日の朝のニュースでお天気お姉さんが言ってた」
「ふーん、やっぱそうなんだ」
「どこか出かけるの?」
「うーん、最近知り合った人からランチの誘いが来たんだけど・・・」
「最近知り合った人?」
広美はさらに目を丸くして春香を見上げた。
「中学まで一緒だった友達の仕事先の後輩なんだけどさあ」
「へえすごーい!男の人だよねえ」
「うん。私より一つ下なんだって」
「その人からランチに誘われたの?」
「うん」
「それ絶対行くべきでしょー」
「え?」
「絶好のチャンスじゃない」
「何の」
「新しい出会いに決まってるでしょー?」
「新しい出会い、ねえ」
春香の頭の中に、ほんの少しもやがかかった。
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