シーソーが揺れてる
「それでどこ行くの?」
「すぐ近くに牛丼屋があるのでそこに行こうと思ってるんですけど」
「牛丼かー」
牛丼!今そんな気分じゃないんだよなあ。でもせっかく誘ってくれてるから断るのも悪いし・・・。
「少し歩くんですがだいじょうぶでしょうか?」
何か考え込む様子の春香に良太は再び尋ねた。
「うんだいじょうぶ」
そう言って春香は鞄から折りたたみ傘を取り出した。
「この雨の中を歩いて風邪ひかせちゃったらすみません」
歩き出すとすぐ良太は春香に謝った。
「いいのよそんなこと気にしなくたって」
「そうそう。何とかは風邪ひかないって言うだろ?おれたちそうじゃないか」
「おれたちって、あんたと私はそうだろうけど片山君もそれに含めたら失礼でしょうが」
「いや僕も頭悪いですよ」
「何言ってるのー。あなたのほうが私たちよりもずいぶんまともよ」
「そうですか?西山さんこそ僕なんかよりとても立派だと思うんですが」
「立派だなんてぜんぜん」
「仕事にも学校にも行ってないしね」
「うるさい!ってまあ、それは事実だけど・・・」
「あっ、着きましたよ」
オレンジ色の看板を指さして良太は言った。
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