シーソーが揺れてる
「あーそうだよ」
「知らなかったー」
「高校に行ってからあんたのことを全く耳にしないなあって思ったら、そういうことだったのねえ?」
「しょういうこと」
「あんたにしてはずいぶん新しいねたじゃない」
「先輩今日冴えてますねえ」
「いやあそれほどでもー」
直人が照れ笑いを浮かべた時、オーダーした品がテーブルに運ばれてきた。
「ねえエクセルって難しくない?」
牛丼を食べながら春香は良太に尋ねた。数学が特に苦手だった春香は学校でエクセルを操作するのにものすごく苦労したことをひしひしと思い出していた。
「うーん確かにワードに比べたらちょっと難しいんじゃないかと」
「ちょっとですむんだー」
春香は関心したように良太を見た。
「いやあ、久々の牛丼はうめえなあ」
そんな春香を横目に直人は歓声をあげた。
「久々って、この前もここ来たじゃないですか」
「この前っていつだよ」
「えっ、・・・」
直人の問いに良太は牛丼を食べる箸を止めてはっとした。
「おれ牛丼食べたの送別会以来だぞ」
「すみません、人違いでした」
その場に身を竦めて良太は言った。
じつは良太は3週間ほど前ネットで知り合った女の子と初対面した再この店を訪れていたのだ。
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