シーソーが揺れてる
「私の部屋に転がり込んで来た時のこと覚えてる?」
「もちろん覚えてるけど」
「その時に何て言ったか覚えてる?」
「うーん・・・」
そろそろほんとのことを言わないといけないな。春香の体を包んでいた嫌な予感がだんだん強い覚悟のような物に変わろうとしている。
「理由はそのうち話すから、とりあえず寝る所だけでいいから貸してって、あの時そう言ってたよねえ」
「うん」
「ついでに言うと、家賃も払うし料理も掃除も洗濯もやるからとも言ってなかったっけ」
「うん」
「まあだるそうにしてる春ちゃんを見てたら部屋のことをさせるわけにはいかないと思ったから私やってるけど、家賃はちゃんと払ってくれてるわけだし」
「あー、ごめんね。ありがとう」
春香は申し訳なさそうに肩を落とした。
「いいよ。でもそれより・・・」
広美のぎろっとした目が春香を捕らえた。
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