シーソーが揺れてる
「ねえ何があったの?心も体もぼろぼろになるようなことって何なのよ」
次次に突き刺さる広美の問いに、春香は逃げるように視線を反らすとバスの外に投げた。しかし広美はさらに言い続けた。
「春ちゃん高校の時言ってたじゃない。私は将来音楽家になるって。映画やCM音楽を作曲してみんなの生活にそっと寄り添えるような音楽を作る、そんな音楽家になりたいんだって、卒業アルバムにも書いてたじゃない」
春香はバスの外に向けていた目をぐっとつぶった。
「ねえ聞いてるのー?」
広美の甲高い声が春香の耳を貫いた。
「聞いてるわよ」
春香は答えた。
「放課後だって私が遊ぼうって誘ってもピアノやるからって断り続けてて。じつは私ほんとにピアノやってるのかと思ってちらちら音楽室覗きに行ってたの。そしたら春ちゃん、一生懸命ソナチネとかシューベルトとかやってて・・・!すごいなあって思った。私も負けていられないなあって」
広美の頭の中を久しぶりに見るような光景が駆け巡った。音楽室から途切れ途切れに聞こえてくる力強くもどこか優しいピアノの旋律が。夢を語るきらきらした春香の瞳が。
次次に突き刺さる広美の問いに、春香は逃げるように視線を反らすとバスの外に投げた。しかし広美はさらに言い続けた。
「春ちゃん高校の時言ってたじゃない。私は将来音楽家になるって。映画やCM音楽を作曲してみんなの生活にそっと寄り添えるような音楽を作る、そんな音楽家になりたいんだって、卒業アルバムにも書いてたじゃない」
春香はバスの外に向けていた目をぐっとつぶった。
「ねえ聞いてるのー?」
広美の甲高い声が春香の耳を貫いた。
「聞いてるわよ」
春香は答えた。
「放課後だって私が遊ぼうって誘ってもピアノやるからって断り続けてて。じつは私ほんとにピアノやってるのかと思ってちらちら音楽室覗きに行ってたの。そしたら春ちゃん、一生懸命ソナチネとかシューベルトとかやってて・・・!すごいなあって思った。私も負けていられないなあって」
広美の頭の中を久しぶりに見るような光景が駆け巡った。音楽室から途切れ途切れに聞こえてくる力強くもどこか優しいピアノの旋律が。夢を語るきらきらした春香の瞳が。