シーソーが揺れてる
春香の頭にも、広美と同じ光景が浮かんでいた。だが春香の場合はそれにプラスして、音楽室の窓の外から聞こえてくる野球部の掛け声と、廊下から聞こえる男子生徒と先生のもめる声に混じってただひたすらにピアノをひいていたあの時を・・・。もう忘れていると思っていた。でもまだ確かに覚えている。しかし春香は、
「私さあ」
唇から言葉がこぼれた。
「ピアノ、嫌いだったの」
「え?」
「音楽家になりたかったのも、あの時はほんとにそう思ってたのかもしれないけど、気がついたの。あれは私の夢じゃないって」
「えっ、どういうこと?春ちゃんの夢じゃないって」
バスが急ブレーキをかけたからなのか、春香の話に対しての同様なのか、広美の体が大きく揺れた。春香はさらにこう続けた。
「私さあ」
唇から言葉がこぼれた。
「ピアノ、嫌いだったの」
「え?」
「音楽家になりたかったのも、あの時はほんとにそう思ってたのかもしれないけど、気がついたの。あれは私の夢じゃないって」
「えっ、どういうこと?春ちゃんの夢じゃないって」
バスが急ブレーキをかけたからなのか、春香の話に対しての同様なのか、広美の体が大きく揺れた。春香はさらにこう続けた。