シーソーが揺れてる
「ねえ、昨日はどうだったの?」
ラーメン屋の席に座ると早速広美は春香に尋ねた。
「あー牛丼?美味しかったよ」
「そうじゃなくて、ほら最近知り合ったって言う男よ」
広美はメニュー表を閉じるとじれったいと言う様子を見せた。
「あー、まあ普通だったよ」
メニュー表を見ながら春香は答えた。
「その人って学生?」
「うん。it系の学校行ってるんだって」
「へえ、いいじゃない」
「何が?」
「itやってるってのがかっこよくない?」
広美は目を輝かせた。
「じゃあ農業大学行ってる松村君はかっこよくないわけね」
「いや、それは・・・」
恥ずかしそうに広美は両手で口を覆った。
「すみませーん」
そんな広美をよそに、春香は通りすがろうとする店員に声をかけた。
< 74 / 284 >

この作品をシェア

pagetop