シーソーが揺れてる
「このキティのこと?」
「そう。おまえまだそんなもん付けてんのか?」
「いいじゃないべつに。私ご当地限定キティ集めるの好きだから」
「ふーん」
直人はベンチに置いておいた飲みかけの缶コーヒーに手を延ばした。
「もしかして、あの時のことでも思い出した?」
ゆっくりとコーヒーを飲む直人に春香は言った。
「あの時のことって?」
コーヒーを数口飲むと直人は聞いた。
「小学校1年の時」
「小学校1年?」
缶に残されたコーヒーを見つめながら直人は考え込んだ。
春香も傘のえのキティちゃんのキーホルダーの鎖をいじりながらその時の記憶を掘り起こした。
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