シーソーが揺れてる
言おう!直人だったら話してもそれをへんな出任にして周りに流すようなことはしないだろう。たぶん。
「うん、じつはさあ、・・・」
ここで春香は昨日の一部始終を洗いざらい直人に話した。
「おい、良太はコンビニで何を買ったんだ?」
「さあ」
「それで車には良太の他にだれが乗ってたのか?」
「知らないわよ。そこまで見てないから」
「ふーん」
直人は今まで春香に向けていた目をふと砂場で遊ぶ子供たちに合わせた。すると、砂山を作る女の子の横でそれを崩そうともくろむ男の子がアンパンマンのスコップを手にじわじわと女の子の方に近づいていくところだった。
「やっぱりデートなんだよ。車持ちの彼女かー、良太もなかなかやるなあ」
視線を砂場に向けたまま直人は独り言を言った。
「女とは限らないでしょう。男友達かもしれないじゃない」
春香の声に、ようやく直人は視線を元に戻した。
「うーん・・・」
直人が低く唸った時、砂場の方から鳴き声が聞こえてきた。どうやら女の子が作っていた砂山をついに男の子に壊されてしまったようだ。
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