シーソーが揺れてる
大8章
1
「ねえ、春ちゃん」
その日の夜。テレビの歌番組を見ながら広美が不意に声をかけた。
「ん?なに」
「春ちゃんはいつ家に帰るの?」
「え?」
広美の突然の問いに、春香は一瞬動揺しそうになった。
音大を中退して広美の部屋に転がり込んでから1度も実家には帰っていない。帰りたいと思っていないからだ。
「私来月から2週間ぐらい実家に帰るつもりでいるんだけど」
「えっあんた家換えんの?」
「あたりまえでしょう。家今年初盆だし」
「お盆ねえ」
そういえば去年の年末に広美から「喪中なので年賀状はいりません」というメールが届いたことを春香は思い出した。
その日の夜。テレビの歌番組を見ながら広美が不意に声をかけた。
「ん?なに」
「春ちゃんはいつ家に帰るの?」
「え?」
広美の突然の問いに、春香は一瞬動揺しそうになった。
音大を中退して広美の部屋に転がり込んでから1度も実家には帰っていない。帰りたいと思っていないからだ。
「私来月から2週間ぐらい実家に帰るつもりでいるんだけど」
「えっあんた家換えんの?」
「あたりまえでしょう。家今年初盆だし」
「お盆ねえ」
そういえば去年の年末に広美から「喪中なので年賀状はいりません」というメールが届いたことを春香は思い出した。