桜の道しるべ
第一章
入学式
暖かい南の風が優しく息を吹きかけ、柔らかな日差しが建物全体を包み込む春。
僕、若宮俊哉は今日ここ私立桜ヶ丘中学校に入学する。中学校を私立にした理由はただ1つ。この学校の校庭にはいくつもの桜の木がある。桜は春にしか見られないから僕の中ではとても特別な花なんだ。僕はそんな桜が大好きで年々変わり行く桜の絵を描くんだ。だから、部屋には1年目の桜、2年目の桜・・・・・と桜の水彩画が飾ってあるんだ。ここまでの話で分かるように僕は桜が大好き。特にここ桜ヶ丘中学校の桜が大好きだから入学した、ただそれだけ。別に勉強とかそういうののためじゃないんだ。友達との別れもそれなりに悲しいけど「新しい出会いがあるのだから」と前向きに考えることにした。
教室に入ると今日、全員が初対面だというのにもうクラスでは仲良しグループがいくつか出来上がっていた。でも、あせる必要は無い。僕はそれより桜を眺めたいのだから。
僕の苗字は若宮で「わ」行である。だから、席は窓側の1番後ろ。桜が良く見える。
「ここは僕の特等席だな。」
あまりの嬉しさに言葉が素直に口から出る。僕は席に座ってしばらく桜を眺めることにした。
だが、どこからか視線を感じた。・・・・・隣?僕は気になって隣の席を見た。
「あっ!・・・・・ごめんなさい。邪魔しちゃって・・・・・・・。」
隣の席に座っていた子は申し訳なさそうに僕にそう言った。僕は思いっきり左右に首を振った。それを見て安心したのか隣の子は笑顔になった。
僕の隣の席のその子の印象は、背が高くてスラっとしている。髪はショートで笑顔はまるで、向日葵のようにまぶしかった。
「あの、桜・・・・・好きなんですか?」
隣のその子は目をキラキラと輝かせて僕に聞いていた。
「うん、好きだよ。僕さ恥ずかしいんだけど、この中学に入学したのも桜が見たかったからなんだ。」
僕はテレながら隣のその子に言った。
「・・・え?そうなんだ!って私もこの中学の桜が好きで入学したんだ。私、佐久間千尋って言うんだ。よろしくね。」
「うん。あっ僕の名前は若宮俊哉、中学校に入学した理由が一緒の子が居るなんてびっくりしたよ。これから仲良くしような、佐久間。」
女子の名前を呼ぶことがあまりない僕にとって今、この瞬間がとっても長く感じた。
「あのさ、私なんて呼べばいいかな?」
佐久間が心配そうに聞いてきた。
「僕のことは何でもいいよ。好きに呼んで」
「じゃあ、若宮君!」
ドクンッ・・・・・
佐久間に名前を呼ばれただけなのに胸がドクンッとなった。
僕、若宮俊哉は今日ここ私立桜ヶ丘中学校に入学する。中学校を私立にした理由はただ1つ。この学校の校庭にはいくつもの桜の木がある。桜は春にしか見られないから僕の中ではとても特別な花なんだ。僕はそんな桜が大好きで年々変わり行く桜の絵を描くんだ。だから、部屋には1年目の桜、2年目の桜・・・・・と桜の水彩画が飾ってあるんだ。ここまでの話で分かるように僕は桜が大好き。特にここ桜ヶ丘中学校の桜が大好きだから入学した、ただそれだけ。別に勉強とかそういうののためじゃないんだ。友達との別れもそれなりに悲しいけど「新しい出会いがあるのだから」と前向きに考えることにした。
教室に入ると今日、全員が初対面だというのにもうクラスでは仲良しグループがいくつか出来上がっていた。でも、あせる必要は無い。僕はそれより桜を眺めたいのだから。
僕の苗字は若宮で「わ」行である。だから、席は窓側の1番後ろ。桜が良く見える。
「ここは僕の特等席だな。」
あまりの嬉しさに言葉が素直に口から出る。僕は席に座ってしばらく桜を眺めることにした。
だが、どこからか視線を感じた。・・・・・隣?僕は気になって隣の席を見た。
「あっ!・・・・・ごめんなさい。邪魔しちゃって・・・・・・・。」
隣の席に座っていた子は申し訳なさそうに僕にそう言った。僕は思いっきり左右に首を振った。それを見て安心したのか隣の子は笑顔になった。
僕の隣の席のその子の印象は、背が高くてスラっとしている。髪はショートで笑顔はまるで、向日葵のようにまぶしかった。
「あの、桜・・・・・好きなんですか?」
隣のその子は目をキラキラと輝かせて僕に聞いていた。
「うん、好きだよ。僕さ恥ずかしいんだけど、この中学に入学したのも桜が見たかったからなんだ。」
僕はテレながら隣のその子に言った。
「・・・え?そうなんだ!って私もこの中学の桜が好きで入学したんだ。私、佐久間千尋って言うんだ。よろしくね。」
「うん。あっ僕の名前は若宮俊哉、中学校に入学した理由が一緒の子が居るなんてびっくりしたよ。これから仲良くしような、佐久間。」
女子の名前を呼ぶことがあまりない僕にとって今、この瞬間がとっても長く感じた。
「あのさ、私なんて呼べばいいかな?」
佐久間が心配そうに聞いてきた。
「僕のことは何でもいいよ。好きに呼んで」
「じゃあ、若宮君!」
ドクンッ・・・・・
佐久間に名前を呼ばれただけなのに胸がドクンッとなった。