夏休みの恋人
「……もぅっ、冗談やめてよ慶ー」

「いや、マジで……あんた誰?」

「麻紀ちゃんに決まってるじゃん……え、嘘、マジで……?」


麻紀がみるみる不安気な表情になっていく。



そろそろここらで止めておくか。



そう思って口を開こうとすると。


「………っ、慶!いい加減にしろ」


怒ったような淳一の声に遮られた。


「……なんだよ淳一。ちょっとふざけてみただけだろ。そんな怒んなよ」

「……………」



淳一がこんな冗談で怒るなんて………



始めは淳一から振ったくせに………



気まずい雰囲気が流れる。
と、ばんっ、と背中を思い切り叩かれた。
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