夏休みの恋人
麻紀と戯れ合っていたら、突然淳一が椅子を蹴倒す勢いで立ち上がった。


「うおっ、淳一。どーしたイキナリ」

「麻紀びっくりー」

「俺ちょっと5組行ってくるわ」


そう言い置いて、足早に教室を出ていく。


「えっ、アレってジミ子!?別人じゃんっ」


淳一の後を目で追っていた麻紀が、驚いたように声を上げた。

座っている俺からは廊下の様子が見えないので、何のことだかわからない。


「ってしかもジミ子の彼氏って淳一だったんだ!?あーでも納得ー」



『ジミ子の彼氏は淳一』。


つまり『ジミ子』は淳一の例の片想いの?



途端興味を持って廊下を覗き見たが、時既に遅し。二人の姿はなかった。
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