夏休みの恋人
◆◆◆
『オレは絶対にまた、こーこを見つける自信があるよ。だからこーこも、約束して』
三度目の出会いも、黄昏の光が照らしていた。
二度あることは三度あるって本当ね、と寝起きの頭でぼんやりと思った。
ぼんやりとしたまま、目の前にいるあなたを呼んだ。
だけど私を覗き込むあなたの瞳が、私の知っているあなたとは少し違って、前のあなたではないことを思い出した。
名を呼んでしまったことをどう言い訳しようかと、寝起きで働かない頭で悩んでいたら、あなたは私に訊ねてきた。
応えては駄目。
咄嗟にそう思ったのに。
なのに、思うよりも早く、名を告げてしまっていた。
だって、あなたがそんな顔をするから。
あの時と同じ、泣きそうな顔。
あの時のあなたとは、違うあなたの筈なのに。
『こーこ』。
音には出なかったけど、僅かに動かされたあなたの口唇が、自然にその名を紡いだように見えた。
『絶対にまた、こーこを見つける』。
あなたが言った言葉が、頭を過った。
それとも、私の希望なのだろうか。
ごめんね、慶。
あなたは私との約束を守ってくれたのに。
私はあなたとの約束を、守れない。
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『オレは絶対にまた、こーこを見つける自信があるよ。だからこーこも、約束して』
三度目の出会いも、黄昏の光が照らしていた。
二度あることは三度あるって本当ね、と寝起きの頭でぼんやりと思った。
ぼんやりとしたまま、目の前にいるあなたを呼んだ。
だけど私を覗き込むあなたの瞳が、私の知っているあなたとは少し違って、前のあなたではないことを思い出した。
名を呼んでしまったことをどう言い訳しようかと、寝起きで働かない頭で悩んでいたら、あなたは私に訊ねてきた。
応えては駄目。
咄嗟にそう思ったのに。
なのに、思うよりも早く、名を告げてしまっていた。
だって、あなたがそんな顔をするから。
あの時と同じ、泣きそうな顔。
あの時のあなたとは、違うあなたの筈なのに。
『こーこ』。
音には出なかったけど、僅かに動かされたあなたの口唇が、自然にその名を紡いだように見えた。
『絶対にまた、こーこを見つける』。
あなたが言った言葉が、頭を過った。
それとも、私の希望なのだろうか。
ごめんね、慶。
あなたは私との約束を守ってくれたのに。
私はあなたとの約束を、守れない。
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