夏休みの恋人
淳一は、あまり夏休みのことを俺に話そうとしない。



最初は、俺が混乱するのを気遣ってだと思った。

こう見えて実は友達思いな淳一のことだから、きっとそうなんだろうけど、やっぱり何か隠している気もする。



何か、大事なことを。



直感的に俺はそう思った。

何故かは、わからないけど。



淳一が言わないなら、俺から訊かなければ。


「なあ、淳……」

「けーいっ。なーに二人して深刻な顔してんのー?めっちゃ暗いよー」


超能天気な声と共に、ずしっと俺の頭に何かがのしかかった。

勢いで俺の頭はずがんと机にぶつかった。
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