トーク!
会えばもしかしたら新杉さんも思いとどまってくれるかもしれないし。
優しい新杉さんは、わざわざ会いに行ったあたしを雑には扱わないはず。


そんな想いから着替え始めたあたしの携帯に、また新杉さんからの着信で、肩がビクついた。


む、無視だ……。


このまま無視して会いに行ったほうがいい。
電話じゃなく会ってから話したい。


そう思うけど、


「……もしもし?」


あたしの体は新杉さんを無視し続けるなんて出来なくて。
下着とジーンズだけを身に着けた上半身裸のまま、あたしの手は携帯電話の通話ボタンを押した。


「もしもし、六花ちゃん?」


その声はいつもどおり、穏やかで優しげな新杉さんの声。

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