トーク!
大好きで、ずっと聞きたくて、待ち望んでた声。……だったんだけど。


その声色に、こんなときでも変わらない新杉さんに、しなしなと気持ちがしぼんで行く。
別に怒ってるなんて思ってなかったし、焦ってる新杉さんも想像つかないけど、いつもどおり、感情の読み取れない声に、すごく切なくなった。


なにかしらの感情がほしかった。


この10日間、ほんとに不安で悩んで迷って、そうやって過ごしてきたあたしほどじゃなくても、何かしら思ってて欲しかった。


なのに、


「六花ちゃん?」


新杉さんは何も変わらない。


ビクビクドキドキしながら電話に出た自分がすごくバカみたいで。


「……はい」


精一杯だした声は、思ってた以上に弱弱しかった。

< 45 / 64 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop