トーク!
「あ、もしかして家じゃなかった?」

「いえ!家です!」

「良かった。今から……会えるかな?」


もうよく分かんない……!


新杉さんが何を思って会いにきてくれたのかはよく分かんない。
けど、これがあたしにとっては願ったりな状況だってことには間違いなかった。


情に訴えるなら、会うしかない。
たとえ、新杉さんが別れを言いにきたんだとしても逃げ道なんてなくて、


「あ、えと、今降ります……」


とりあえず逃げられないよう何か言われる前に家に上げてしまおうと浅黒い考えを胸に、あたしはそう言葉を発した。


「うん。待ってる」


電話を切って、途中までだった着替えをしながら考える。

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