トーク!
どうすれば別れずにすむんだろう。
どうすれば、私の気持ちを伝えることが出来るんだろう。



10日ぶりの新杉さんは相変わらずかっこよかった。


「ひさしぶり」と穏やかな声をだした新杉さんを、あからさまにならないよう部屋にあげる。
「今だれもいないから大丈夫です」って言ったあたしの言葉に、紳士な新杉さんはあからさまに躊躇してたけど、それでもあたしは、獲物を部屋にあげることに成功した。


「ありがとう」


お茶をだしたあたしを、新杉さんの優しい目が見つめる。
それだけであたしの目にこみ上げる嬉しさが溜まって、もう少しで「目にゴミが…」って、見え透いた嘘をつかなきゃいけないところだった。


飾り気のないあたしの部屋に新杉さんが居る。
こんなときなのに、女の子らしくない部屋が、今更恥ずかしくなる。

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