逃げる女
次の日、ドキドキしながら学校へ向かう。



けれど森田君の姿はない。



今日が2次試験だと言ってたんだった。
ほっとしたような、がっかりしたような…
今までこんな気持ちになったことがない。



森田君も読んでた事のあると言った本を手にするだけで、胸が高鳴る。




そんな1日を過ごしてた。





『…あれ?また嘉島だ…』



とうに学校も終わり、それでも、本の続きが気になり残ってずっと読み続けてた私に森田君が声をかけてきた。




「森田君?試験は?」



『とっくに終わったよ。一応担任に報告しに来た。』


「そ、そう。どうだったの?」



『ん…多分上手くいったと思う。』



笑いながら言う森田君。




「おめでとう。」




『まだ結果は出てないよ?』



そうだった…



かける言葉を間違えた。





『嘉島って面白いな!』




落ち込む私に気付かず笑ってくれる森田君。




胸がキュンとなる。



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