逃げる女
残念そうな顔の森田君。思わず私が買ってあげたくなってしまった。


















今日は久しぶりにクラス全員が揃う日だった。


卒業式の予行演習が行われるからだ。



みな、受験から解放されて、結果は出てないにしろ、どこかお祭り気分で浮かれているようだった。



私はあれからも毎日学校へ通い、放課後は森田君と、読んだ本についての感想を言い合っていた。



今こうして別々の友達と話しているけれど、放課後は2人きりで、話す。



誰も知らない秘密の関係に私はひそかに喜びを感じていた。





『えーっ!嘘だぁ!!』


大きな声が聞こえてきた。森田君達と話している女の子が何かに驚いている。




『マジだって!!なぁ!?こいつほんとに29日生まれなんだよ。』



クラスの男子がいうのが森田君の事だとわかり、私は耳を澄ました。


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