逃げる女
『素敵なんて初めて言われた。嘉島っていい奴だな!』


違うよ。森田君が好きだから、良く思われたくて必死なだけ。



『…明日もさ、こうして放課後話しような。』


「いいの?誕生日なのに。」



『何で?』



「だって…ほらお祝いとか、皆してくれそうじゃない?」


『いいよ。俺はこうして嘉島と話していたいから。』


4年に1度しか来ない本当の誕生日なのに、私といてくれるの?



胸の高まりを感じた。



『…1番最初にさ話した事覚えてる?』


「ん?本の話?」



『いや、俺が、スキー教えてやるよって言ってた話。あれさ、約束しよう。』



「約…束?」



『うん。来年…俺北海道、遊びに行くからさ、一緒にスキーやろうぜ。』


「でも…」


『せっかく仲良くなれたのに、このまま終わりなんて悲しいじゃん!な?』



「うん…そうだね…でも…一緒には寝れないよ?」


『じゃあ布団用意しといてよ。』


「…それも無理。寝袋持参でなら考えてもいいよ。」



『寝袋!?家の中で!?嘉島ってやっぱり面白いな。』




.
< 106 / 197 >

この作品をシェア

pagetop