逃げる女
こんな風に森田君と冗談を言い合える位仲良くなれただけでも嬉しいのに、来年会う約束もできるなんて、思ってもいなかった。


自然と頬が緩む。







ガラッ



ドアの開く音がした。
教室の入り口付近に佇むクラスの男子。


森田君といつも一緒にいる人だ。



『お前ら、何してたの?』


『別に?話してただけだよ。お前は?』



『携帯忘れて取りに来た…』



ジロジロと私を見るその目が、どうしてお前が森田君と話なんかしてるんだと言っているようで、いたたまれなくなった私は、席を立った。



『帰るの?』



「うん…じゃあ…バイバイ。」




そんなやりとりすら見張られてる気がして、私はそそくさと教室を後にした。



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