逃げる女
『いつから、いたんだろうな…』


私の心の中が見えるんだろうか。
杉田さんはいつも、私の考えてる事を言い当てるように話しかけてくる。



『また、店に来るって言ってたな。』




何も答えられなかった。




2度と会いたくないと思ってたのに。



何も話す事なんてない。



ずっとそう思ってた。




なのにどうしてだろう。



同情?



それともまだ未練が?



話を聞くべきなのか迷い始めている私がいる。




『嘉島の思う様に行動すればいい。…話を聞くべきか迷ってるんだろ?』



「どうして?いつも考えてる事わかるんですか?」





『さぁ。…好きだからかな?お前の事なら、なんとなくこう考えてるんだろうなってわかるんだ。』



だったら、私の気持ちに起きた変化に、気付いている?



『会うなら…はっきりさせて来い。未練があるんじゃないのか?』


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