逃げる女
外に出て、体を小さく丸めて歩き出した。相変わらずひどい吹雪だ。

傘を持つ手に力が篭る。



こんな中、今日も私を待っててくれてたんだ。





大きな通りに出ても大雪のせいで歩行者道路も膝位までの雪が積もっていた。



誰かが通った足跡をたどりながら少しでも埋まらないように歩く。



待ち合わせの店が近づいて来た。


前からふきつける雪がひどくて傘で前を防ぎながら下を見て歩いていた。



信号を渡れば、お店に着く。横断歩道は歩道より遥かに歩きやすくて、少し小走りですすんだ。



店の前まできて傘を閉じ、急いで店内へ入ろうと顔を挙げた。





『本当に来てくれた…』



「なんで…店の中で待っていないの?」



そこには店の軒下で雪まみれになってる森田君がいた。




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