逃げる女
森田君が急に立ち上がった。私はついビクッと体が動く。


コートを脱いでまた座り直す。体少し暖かくなったかな。風邪引かなきゃいいけど。



『来てくれてサンキュな。』


「いいよ。お店に毎日来られても、困るし。」



『ははっ。そうだよな。ごめん。それくらい言わなくちゃ会ってくれないだろうなって思ったから。』


「…話って?…4年前の事だよね?」



馴れ合う為にきたんじゃない、そう自分に言い聞かせる。森田君への口調もつい厳しいものになってしまう。



『うん。…ずっと謝りたくて。』



「謝る?何を?」



みんなと笑い飛ばした事?わかってて聞いてしまう私は相当嫌な感じだ。



『あの日…俺嘉島の事傷つけたよな。』



私を見つめる森田君から目を反らす。



『ずっと謝りたくて…あの日、嘉島の事追いかけたよ。必死で探した。“まだそんな遠くには行ってない”そう思って学校近辺ずっと探してた。でも見つからなくて…』



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