逃げる女
二人羽下りのような恰好で、私にわかりやすく教えてくれようとする大志君。


『こうして真っすぐ引いて…』


教えてくれるのは嬉しいけれど、この状態は!!


密着しすぎで、私は教えてもらうどころじゃない。


『これで突いてみて。』


そういわれて一緒に突く。

球にしっかりと当たり、その奥にある球へとぶつかる白い球。



『ほら。出来た。わかった?』



「〜ッ。う、うん。なんとなく…」



この格好のまま、耳元で話しかけないでっ!!


心臓の音が背中越しに大志君へ聞こえてしまいそう。


『もう1回やってみようか。』


側にある球を私の前へ置き、また二人羽下りのように私に重なってくる大志君。



も、もう限界っ!!!!


「あとは私ひとりでやってみるから!」



『正しい打ち方出来るまで練習した方がいいって。』



離れてくれない大志君。




…もしかして…この態勢は…わざと??



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