逃げる女
ブシュ―ッ




「きゃあッ!!」



奪い合おうとしたときに振ってしまったのか、開けた口から勢いよく飛び出る炭酸の泡。




思い切り顔と体にかかってしまった私。



「つ、冷たいッ!!」




『ぶはっ!!馬鹿な奴!!意地汚く俺から奪った罰だな!!』



腹を抱えて笑う充にすごくムカついてしまい、私は缶の口を押さえて思い切り振って充へ向けた。



『はははっ…!?ば…馬鹿やめろって!!』



慌てて私の両腕を押さえて上へあげる充。



当然振った缶の口から手も離れて私は頭からビールを被ってしまった。


『冷てっ!!俺にもかかったじゃんか!!』



「どうみても私の被害の方が大きいじゃない!!それくらい我慢しなさい…よ…」



顔をあげた瞬間、思ってた以上に充の顔が近くにあって言葉を失う。



ドキンっ




やだ…な、何意識してるのよ!?
相手は充だよ!?



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