逃げる女
充も私の微妙な変化に気付いたのか、急に黙り込む。



ドキン…ドキン…



ど、どうしよう。ここで目逸らしたら「意識してます!」って言ってるようなものじゃない?かといって、このまま見つめ合うのも変だし。


何か言ってよ…



『…透けてる。』



「……は?な、何が?」




『…お前さ…、下着付けてから家にあげろよ。俺相手だからって油断しすぎ。』



はっとして胸元をみる。


薄いピンクのだほっとしたTシャツは濡れて肌にぴったりとくっついて、中身を透かして見せてた。



つまり私の胸が透けて見えている。



「だ、だって!!突然くるからっ!!」



私、家に帰ったらすぐに部屋着に着替えて、ブラジャーも外しちゃうんだよね。






顔がどんどん赤くなってくるのがわかる。



「は、離してよっ!着替える…」




充を見上げながらそう言葉を発していたのに、急に声が出なくなる。




「…んッ…」



両腕を押さえたまま充がキスしてきたからだ。




突然のキスに頭の中は真っ白で。



ただ、充のキスをそのまま受け止めてしまっていた。


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