逃げる女

「もしもし。」



『俺だけど…』




「何？」



『さっきの話…やっぱりはっきり言っといた方が美里の為になると思って。』



私の為？




「武志はさ、何で私が武志の事好きじゃないって思ったの？Ｈ拒んだから？やらせないから他に好きな女つくったの？」



『…半分はそうかもしれない。』



半分？




「半分って何よ。はっきり言ってよ！結局はそれが全部なんでしょ！？」



歩きながらの会話で、他に通行人がいるのに感情的になって、大きな声になってしまう。




『美里は何で俺と付き合おうって思った？』



「何でって…」



そんなの好きだからに決まってるでしょ？



『俺と付き合う前ってさ、いつも充を含めて３人でしか会ったことなかったよな。』




充が武志を私に紹介してきて、仲良くなって…


言われてみれば充とはよく２人で会ってたけれど、武志とは２人きりになったのは付き合うようになってからだったかもしれない。