逃げる女
泉美はたいした気にした様子もなくメールをうっている。


「上坂君にメール？」



私を一度ちらっと見て、
また携帯へと顔を戻す泉美


『うん。』




それだけ言って長々とメールをうっていた。




付き合う前のそんなやり取りがドキドキして、きっと楽しいんだろうな。






改めて思い直すと、武志と付き合う前も、付き合ってからもそんなドキドキなかった気がする。



私って本当武志にひどい事してたんだな。




そう思うと、一度会ってちゃんと謝るべきなんじゃないかと思えてきた。



武志にとってはすごい失礼な事になるのかもしれない。


けれど…





私も携帯を取り出してメールをうちはじめた。



『充にメール？』



泉美に聞かれて何と答えるか少し考える。



「いや。武志にメールしようと思って。」


正直に話す事にした。


『は？何？何で！？やっぱり合コンで何かあったの？』



「うーん…あったような無かったような…でも武志に伝えたい事が出来たんだ。だから会えないかメールしてる。」



私がそういうと泉美は何とも言えない表情を浮かべてた。そして無言でメールをうちはじめてた。
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