逃げる女
戻ると大志君は一人でビリヤードをしていた。



「大志君コレ飲んで。お腹はもう平気?」



『あれくらいたいした事ないよ。』



渡した烏龍茶を飲みながら答える大志君。


「私の練習より、大志君が打ってる所見てたいな。駄目かな?」


練習再開なんてしたら、また密着だもんね。


『え?でもそれじゃ…』


「大志君上手だから、見てるだけでも充分楽しめるよ。ね?やりたくなったら私からちゃんと言うし。」



なんとか言いくるめて、私は椅子に座りながらビリヤードをする大志君を見ていた。


次々と穴の中へ落とされていくビリヤードの球。
構える大志君。




本当に上手いんだな…
すごく様になってて恰好良い。





結局最後まで私がやることなくお店を出ることになった。



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