逃げる女
武志は服の袖で乱暴に私の涙を拭いてくれた。


『ちゃんと好きって言ったのかよ。』


「友達って言われて…言えるわけないじゃん…」



そう答える私に武志はでかいため息をついた。



『やっぱりお前て何もわかってないな。』


「何がよ。」


『充の事失いたくないなら、ちゃんと気持ち伝えろよ!…別れた女に何アドバイスしてるんだろうな…』



別れた男に、相談に乗ってもらってる私もたいがいおかしな女だと思う。


「武志…幸せになってね。」


私は出来なかったけど…次の彼女とは幸せになって欲しい。



『お前もな。』



頭をグシャグシャに撫でられて、武志は立ち上がった。



『俺、約束あるから、もう行くよ。』



「うん。来てくれてありがとう。あと頼まれても、もう合コンは行かない方が良いよ!」



『美里もな。』




そして歩いていく武志を見つめてた。
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