逃げる女

まだ殴り足りないのか、また手を振り上げる。


『やめろっ！』



その女の子の手を掴み私から離そうとする充。


充に捕まれながらも私を睨む女の子。


『取らないでよ…』


「え…？」



『ずっと好きで…やっと付き合えるようになったのに…どうしてまだ側にあんたがいるのよっ！？』



はらはらと落ちる涙が殴られた頬を通過する時に痛みが強まる。



思わず手で殴られた頬を押さえた。



この子が充の彼女になったって事？



『美里はそんなんじゃないだろうって説明したろ！？』


『だったらなんで２人で会ったりしてたの？私…見たんだからっ！！』


興奮する女の子をなだめようとする充。



私はただその光景を見ているだけ。