逃げる女
「大志君はこんな風に話すために、カラオケBOXをよく利用するの?」



『まさか。普段は歌う為にしか来ないよ。今日は特別。』


「本当かな…だってすぐに思いつくなんて利用してなくちゃ出来ないでしょ?」


ついきつい言い方になってしまう。


『そんな事ないよ。』


またしても、極上の笑みで返す大志君。


ますます怪しい。



「…ふ〜ん。」


可愛くないな私。すごくいやな態度とってるよね。


『美紀ちゃんと2人きりになりたくて一所懸命考えたんだけどな。嫌だった?』


「嫌ってわけじゃないんだけど…なんか…緊張しちゃうもん。上手く話せないとつまらないでしょ?普通に喫茶店とかの方が話しやすかったかなと思ったの。」


『そう?今は普通に話してるじゃん。気にしすぎだよ。』



そんな事ないって。この距離で話してても、私の胸はかなりドキドキしてるんだから。


気付かれないように、突っ張って、可愛くない態度取ってること知らないでしょ?



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