逃げる女
だって…“飽きたら捨てる”って。
大志君の友達はさっき、私は2週間で捨てられるだろうって、予想してたんだよ?


「…何でもない。嫌な事思い出させちゃってごめんね。」


『いいんだ。何かお互い思ってたのと違ってた、みたいな感じだったから。それにお陰でこうして美紀ちゃんと仲良くなれたんだしさ。』



「…そう?」



心から喜べない。


本当にお互いがそう思ってた?
大志君だけそう思ったんじゃないの?



『ねえ。遠くない?隣座っちゃ駄目?』


「え?と、隣!?」



『うん。隣がいい。駄目?』



駄目?と聞かれると、なんて断れば、かどがたたないですむのかわからない。


返事に困ってる間にも大志君は移動して来て私の隣へ座る。



私の右半分が一気に緊張で固まった気分だ。



『顔見て話すよりさ、きっと隣の方が緊張しないよ。』




…私は向かい合わせの方が緊張しないんだけど。


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