逃げる女
私は向かいに置きっぱなしの大志君の飲み物を取ろうと少しだけ腰を浮かせた。


「!?」


右腕を大志君に掴まれて動きを止められる。


振り返ると大志君が、すごく真剣な顔で私を見てた。


『…逃げないでよ。』


「飲み物、取ろうとしただけだよ。」



それでも大志君は手を離してくれない。


「大志君?」


『さっきから…俺…避けられてる気がする。近づくと離れようとするから。』



ばれてたか…。


答えに困ってると、掴んでた右手を後ろへ引っ張られた。中腰だった私はそのまま後ろのソファへ倒れ込むように身体を持ってかれる


「きゃあっ!?」


そして目の前には、大志君の顔。
身体半分が私に被さる様な状態で私を見つめる。
掴まれたままの右腕。


ドキンっ


大志君から目を反らせない


.
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