逃げる女
『こんちわ〜。大志、俺ら向こうのカフェにいるから…『あっ!やっと見つけた!2人してどこ行ってたのよ!!』


大志君の友達の言葉もまた別の誰かによって遮られる。


『もぉ!女の子置いていくなんてっ!薫もむこうで探してるんだよ?早く戻ろう?』


そう言いながら、近付いてきた女の子は、大志君の服の裾を引っ張る。


『あ、あのさ、大志は別行動で…』


私を伺いながら女の子を連れて戻ろうとする大志君の友達。


その時女の子と目が合った。


『…どちら様?』



上から下までじとっと見られる。あからさまな敵対心に思わず私もむっとする。

『えっと美紀ちゃんて言って俺の……美紀ちゃん!?』



別に紹介なんてして欲しくない私は綾の待つ食堂へと歩き出した。



『待ってっ!!』


肩を捕まれ大志君の方へと振りむかされる。
少し焦ったような顔の大志君。



「大志君、友達待ってるみたいよ?」


私はにっこりと笑ってその方向を指さす。


『そうだけど、でも…』

「私も友達待たせるし、そろそろ行かなくちゃ。」


『ねぇッ話聞いて?』



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