逃げる女

また鳴り始める携帯。



あ〜もうっ！！



「もしもし！？」


『やっと出てくれた。』



「何？話はさっきしたよね？」


『美紀ちゃん、誤解してると思って。あの子は何でもないんだ。』


「さっきも聞いたよ。私、気にしてないからっていったよね？」


どうしても喧嘩越しの口調になってしまう。
こんなの気にしてます、と言ってると同じだ。けれど止まらない。


『じゃあ、どうして電話もメールも返してくれなかったの？』


「鞄の中に入れっぱなしでさっきまで気付かなかっただけ。」


『本当に？』


「話ってそれだけ？もう切ってもいいかな？」


『待って。会って話がしたいんだ。さっきはちゃんと話せなかったから、今度は２人きりで邪魔されずに話したい。』



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