逃げる女

綾の忠告に耳を傾けず、ひたすらビールを頼み、飲み続ける。そんな私に声をかけてきたのが大志君だった。


『よく飲むね〜。美紀ちゃんだっけ？』

話しかけて来た誠実そうな男の子。

「えっと…誰でしたっけ？」



『大志。さっき自己紹介したんだから覚えてよ。』


そういって笑う大志君の顔が恰好良くて、不覚にもドキッとしてしまった。



「ご、ごめん。」



『怒ってるわけじゃないよ。そんな気にしないで？それより、さっきから１人で飲んでるけど、大人しいの？』



「そういうわけじゃ…」


ただこの雰囲気が苦手なだけ。



『そう？でも飲むのは好きみたいだし、俺と飲み比べしてみる？』


「そんな事して、私に何の得が？」


『俺が勝ったら美紀ちゃんの連絡先教えて？』



……なんだそういうことか。誠実そうに見えてもやっぱりそんなもんか。連絡先とかは聞いちゃうんだ。
少しだけショックをうける

「いいよ。」



私は見た目によらずお酒はかなり強い。はっきりいって酒豪の部類に入る位強いと自負してる。


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