逃げる女
負ける気はしなかったし、もちろん連絡先なんて教えるつもりもなかった。
だけど…






「…ねぇ、もうやめない?」



『ま、まだまだ…』



「でも、もう飲めなさそうでしょ?私、まだまだ平気だからどうやっても勝てないと思うよ。」


『…それでも、やめる気はないよ。』



「そこまでして、連絡先聞きたいの?…私じゃなくて他の子に聞けばこんな事しなくても、簡単に教えてくれると思うよ?」




そう。だって、このメンツの中では抜きでて恰好良いのが大志君。

他の子達も狙っているんだろう。飲み比べの最中もしきりなしに話しかけてくる女の子達。
ムキにならずに、その女の子達と仲良くしてればいいのにさ。
私に挑んでくるから、…ほら顔色悪くなってきた。


『俺、どうしても美紀ちゃんと仲良くなりたいんだ。他の子なんて別にどうでも…うっ…』




「うっ?……も、もしかして気持ち悪い!?」


ヤバイ!口元に手を当ててる!!



慌てて大志君をトイレへ連れて行く。


入るなり大志君は見事な吐きっぷりだった。
ま、間に合って良かった…


「お水もらってくるから!」


店員さんにお水をもらい、大志君に飲ませる。
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