逃げる女
『任せとけ。』


私は更衣室へ向かい、着替えを済ませてホールへ出る。


テーブルの上に積み上げた椅子を一つずつ下ろして、いき、それが終われば、テーブルを拭き始めた。


『嘉島さん。今日のAランチがオムライスでBランチはキノコのクリームパスタに決まりみたいっすよ。』


同じく準備をする岡島君に言われ了解と返事を返す。


開店10分前には準備が整い、キッチンで温かいコーヒーを飲ませてもらう。


いつものバイト風景。岡島君は、一緒に働く仲間内では1番気が合う。


私の次に長く働いているのも岡島君だった。


『朋美、お前来月いっぱいでここでのバイトも終了だな。』


「そうですね。」


『バイト最終日は打ち上げやるから空けとけよ?…まあ店が終わってからだから遅くなるけどな。』



「そんな…そこまでしてくれなくていいですよ。」



『何言ってるんだ。4年も働いてくれたんだ。最後はしっかりと送り出してやるからな。』



『嘉島さんてそんなにここで働いてたんすか?すげー!』


「岡島君だってもう2年は経ってるでしょ?充分長い方よ。みんなすぐやめちゃうから。」


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