逃げる女
食べ終えた食器を洗い終えて岡島君は先に上がった。


午後からの人達が来るまであと30分位の間店長と私の二人きりになる。


温かいジャワティを飲みながら外を見る私に店長は


『朝は悪かったな。昔の話なんかして。朋美がバイトし始めた頃を思い出してたらつい…』


「もういいですよ。私がこんなに変われたのは店長のお陰なんですから。私こそ大人げなくてごめんなさい。」



『俺の方が大人だぞ。』


「知ってますよ。」


『…少し痩せたな。ちゃんと食え。朋美はもう太ってたりしてないんだ。少し位肉がついても平気だよ。』


「…はい。」






4年前の私は今より15キロ体重の多い女だった。


お世辞にも標準とは言い難い体型で。


北海道でひとり暮しを始めた私はそれを機に、絶食という無謀なダイエットをしていた。


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